那覇市の保育園で預けられていた生後3カ月の男の子が死亡してからきょうで1カ月です。濱元さん、継続的に取材を続ける中で原因究明など進展はありましたか?
濱元記者「現場で何が原因で今回の事態に陥ったのか、そして園がどんな対応を取っていたのか、いまだに全容解明には至っていません」
今回のような悲劇を繰り返さないために必要なことを考えたいと思います。
明かりのついていない室内、休園を伝える張り紙。大人や子どもが出入りする姿は全くありません。緑のすずの保育園で生後3カ月だった涼空君(りく)が死亡しました。
先月30日に何が起きていたのかまとめます。午前8時ごろに登園しました。母親が連れてきたときは普段通り元気だったといいます。預かってからおよそ2時間の間、園長が一人で面倒を見ていて、2回ミルクを飲ませていました。午前10時ごろに出勤してきた職員が涼空君の様子がおかしいと伝えます。その時園長は問題ないと判断していました。
正午過ぎ、母親が迎えに来ます。服が汚れていたため15分ほどシャワーを浴びせてから引き渡したということです。この時すでに呼吸はありませんでした。司法解剖の結果、亡くなった時間は午前9時から正午の間とされています。
数日の内に園は両親に謝罪しています。園はQABの取材に対して、責任は園側にあると話したうえで、「早く異変に気付ければ助けられた命だと思う。申し訳ない気持ちでいっぱいです。一生償っていきます」と回答しています。
遺族のご理解と協力のもと、男の子の名前を放送で使わせていただきました。私たちもこのことにしっかりと向き合う必要があります。
小さな命が失われたという胸が痛くなる出来事だったわけですが、大切なのは遺族へのその後の対応だと思います。その点はどうなんでしょうか?
濱元記者「1カ月経った今でも遺族が納得のいく説明は得られていません。気づいた異変というのがどのようなものだったのか、園長が”問題ない”と判断した理由は何だったのか、こうしたところへの説明を両親は望んでいます。
男の子の死因についても考える必要がありますよね。
濱元記者「死因は「窒息」か「乳幼児突然死症候群」と見られています。「乳幼児突然死症候群」はなんの予兆もなく睡眠中に死に至る原因不明の病気です。
もし窒息なら園の過失が大きくなる可能性も考えられます。大切なのは小さな子供の異変にいち早く気づくことです。注意すべきポイントを乳児保育の専門家に聞きました。
沖縄福祉保育専門学校 宮川 名子(みやがわ・めいこ)さん「とにかく他の動物と比べて人間は非常に未熟な状態で生まれてきますので手厚い養護が大切になります」
沖縄福祉保育専門学校の宮川 名子(みやがわ・めいこ)さんは、子どもから目を離さないことが何よりも重要だといいます。市の緊急立ち入り調査で、園は乳児の定期的なチェックと記録をしていなかったことが分かりました。児童の安全管理に関わる20項目のうち8項目が基準に達していなかったとして園を指導しています。
沖縄福祉保育専門学校 宮川 名子さん「5分に一回はブレスチェックをおこなうというガイドラインに示されているんですけど、ただ5分に一回見ればいいのではなくて赤ちゃんが寝ているときも常に顔色とかですね、呼吸の状態とかですね」「確認を怠らないでよく見るということが大切かなと思います」
0歳から2歳くらいまでの子どもは、体温調節をうまくできないため、室温を26度から28度くらい保って、服装や布団などにも気を付けないといけません。
沖縄福祉保育専門学校 宮川 名子さん「こういう形で寝てしまうのがうつぶせ寝、この寝方だとですね、呼吸が止まってしまったり、窒息すす可能性があるのでこの寝か方は絶対にさせないということですね」
寝る時は仰向けにして、きちんと寝返りができるようになるまではうつぶせにならないよう注意する必要があります。ミルクを飲ませる時にも注意が必要です。大人の手でしっかり持って飲ませながら、のどに詰まらせていないか表情で確認します。飲ませた後のケアも欠かせてはいけません。
沖縄福祉保育専門学校 宮川 名子さん「そのまま寝てしまうと、ゲップと一緒に飲んだミルクが出てしまってそれで窒息してしまうってこともありますので、必ず赤ちゃん縦抱きにしてゲップをさせてから寝かすってことが大切になりますね」
乳児が発する細かいサインにも気を付けなければなりません。唇や皮膚にうるおいがない、顔色が青白く生あくびをしている、おでこや脇の下・耳が熱い、ぐったりしている、尿や汗が出ない、といった症状が出た場合は病院を受診すべきだといいます。
沖縄福祉保育専門学校 宮川 名子さん「さまざまな、いつもと違うような様子が見られたらすぐに救急車を予備ぶべきだと思いますね」
乳児は自分の体調を伝えることができません。まわりの大人が小さな変化を見逃さず、守っていくことが何よりも大切です。乳児には、丁寧なケアが欠かせません。だからこそ、世話をするひとりひとりが命を預かるという責任と自覚を持って向き合うことが求められています。